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山を安全に登る走るための天気の見方と気象学

山を安全に登る走るための天気の見方と気象学

※トレイルランニング2019京都フォーラムの「山を安全に走るための気象講座」を聞いて

講師:猪熊隆之(株式会社ヤマテン代表取締役)

山を安全に楽しく登ったり走ったりするためには、まず安全確認が非常に大切です。

平地や街を走るのとは違って、気候が変わりやすく、直ぐに何も対処できないからです。

そのためには、その日その地域の天気をあらかじめ調べること、理解することが大切です。

 

目次

◎日本は天気が多種多様で変化に富んでいる

山で怖い気象変化は、雨だけではなく、強風、雷、濃霧、降雪です。そして、それによる、滑落、土砂災害、川の増水、遭難、低体温症の事故です。

日本列島と言うのは特異的で、天気が変わりやすく、予報が最も難しい国の一つであるとも言われています。

それはアジア大陸の東側で中緯度付近に位置し、北は日本海、南は太平洋に囲まれ、入り組んだ山々が多いことからです。

 

四季の変化があり、高温多湿から、低温低湿まで幅広く変化します。春秋は前線、夏秋はゲリラ豪雨、台風、冬は豪雪と、これほど1年中変わりやすい地域はなかなかありません。

それは平地であってもそうであり、山ではそれ以上に変化が激しいのです。

 

◎山では風の強さを重要視する

山での天気が変わりやすい一つにまず気温があります。

気温は「100m登るごとに0.6℃低下」します。

(1000mでは6℃、3000mでは18℃)

 

そして、もう一つは風が強くなることです。

風が強くなることで体感温度も低下します。

基本的には、「風速1m/sに対して、1℃低く感じる」

だから、地上で30℃の夏でも標高3000mで風速10m/sの風が吹けば、体感温度は

「30-(0.6×(3000÷100))-10)=2℃である。

 

里山などの1000m程度以下であれば、木が生い茂っており、雨風を拡散してくれます。

しかし、2、3000m以上の森林限界では、雨風を防いでくれるものが無いのでまともに吹きさらされるのです。

 

◎天気予報を見るのではなく、天気図を読む

山に行くのに、よくあるYahoo天気やNHKの天気予報程度では、天気が良いか悪いか、寒いか暑いか大まかにしか分かりません。

それだけで判断して、軽装になったり装備が不十分ですと事故に繋がるので、平気と思って過信しないことがとても大切です。

 

「明日の午前は晴れ時々曇り、午後は曇りのち雨。気温は15~25℃」と、普通に生活していればこれくらいの情報でも充分だと思います。

しかし、山に行くときには、その細かな地域の1時間ごとの天気、気温、風速の移り変わりを細かく把握しておくべきです。

 

そして、もう一つ重要なのはその日の天気図の変化を読むことです。

登山地図を読める人は登山で道が読めるように、天気図が読める人はある程度の天気(晴れ曇り雨、寒い暑い、風向き強さ)が読めます。

僕はいつも週間天気は天気図で判断しているほどです。

週間天気図は予測なので多少変化しやすいですが、翌日や当日の天気はほぼ正確です。

それを読むことが出来れば、山での天気予報にプラスアルファで風や雨の降りやすさなど危険因子を追加できるのです。

 

◎天気図から山の風と雨の降りやすさを読む

風は気圧が高いとこから低いところに吹きます。

また、温度が温かいとこから冷たいところに吹きます。

 

そして、基本的には高気圧の周りには時計回りの方向に、低気圧の周りでは反時計回りの方向に風が吹きます。

風の強さは、この気圧や温度の差が大きいところ、大きく変化するところで強くなります。

基本的には[気圧の高い方から低い方向に風が吹く」のですが、地球の自転によって実際には、

「吹く方向に対し直角右方向に風が吹く」ことになります。

 

例えば下の天気図を見てみます。

左(西)に高気圧、右(東)に低気圧があるので、左から右(東方向)へ吹くところを、直角右方向になるため、実際には下(南方向)に風が吹きます。

なので、結果的には「等圧線の間と並行」に風が吹きます.

この状態はよく言われる、北海道あたりに[爆弾低気圧」があり、「西高東低」となっているため、冬の大荒れの天気図です。

 

日本北部には日本海があり、そこから日本に向かって南風が強く吹くため、海の湿気を乗せた雲が流れてきます。

更にはそれが山にぶつかって、上昇気流を起こすためさらに雲が大きくなって、気温も低下するので山の上では猛吹雪の大荒れになるのです。

 

等圧線の感覚は狭いほど風が強くなりますが、通常の天気図の4hPaごとの等圧線の間隔が、「東京-名古屋間だと風速15m/sの強風」、さらには、

「名古屋-大阪間だと風速20m/s以上の大荒れ」となります。

こんな日には絶対に山に行くべきではないのです。

なるべく確実に気象リスクを避けることが、事故を防ぐ一番の方法です。

 

 

逆に下のような天気図だとどうか。

これは日本の中心付近に高気圧があり、等圧線の間隔がとても広くなっています。

ただし、北海道付近では低気圧の等圧線の間隔が狭く、大荒れが続いています。

 

低気圧や前線の中心付近では上昇気流となり雲が出来て雨が降りやすくなりますが、高気圧では下降気流となり雲は出来にくく穏やかな気候となります。

こういう時は本当に全体的に穏やかで山でも絶好の登山日和となります。

※ただし、等圧線の間隔が広くても高気圧と高気圧の間で「気圧の谷」と言う部分は雲が出来て雨が降りやすくなります。

 

このように、事前にただの天気予報だけではなく、天気図からも全体的な山の雨風を読んで、それに対する判断を正確にすることが山での事故を無くす手段と言えますね。


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